偏差値帯:35.0〜55.0(Tier C)
就職率:89.0%(就職希望者ベース・大学公式)
藤原の一言:「俺から見ると正直うらやましいレベル」
「多摩美術大学 誰でも入れる」——微妙なラインだよな。上を見れば東京藝大があるし、下を見れば「美大なんて…」と言われる空気もある。そのモヤモヤ、わかる。
ただ、偏差値37くらいの大学に通ってた俺から見ると、正直うらやましいレベル。今いる場所の現実を、まずデータで確認してみよう。
多摩美術大学はFラン?誰でも入れる?偏差値と入試データで検証
まずは偏差値と入試の実態を見てみよう。多摩美術大学の偏差値帯は河合塾の数値で35.0〜55.0。学科・専攻によって偏差値に非常に大きな幅がある。
学科別偏差値
| 学科・専攻 | 偏差値(河合塾) |
|---|---|
| グラフィックデザイン | 55.0 |
| 情報デザイン(情報デザイン) | 52.5 |
| 統合デザイン | 52.5 |
| 絵画(日本画) | 50.0 |
| 絵画(油画) | 50.0 |
| 工芸 | 47.5 |
| 生産デザイン(プロダクト) | 47.5 |
| 芸術 | 47.5 |
| 演劇舞踊(劇場美術デザイン) | 47.5 |
| 絵画(版画) | 45.0 |
| 彫刻 | 45.0 |
| 情報デザイン(メディア芸術) | 45.0 |
| 生産デザイン(テキスタイル) | 42.5 |
| 建築・環境デザイン | 42.5 |
| 演劇舞踊(演劇舞踊) | 35.0 |
出典:パスナビ(河合塾提供・2026年度入試予想)
グラフィックデザインの55.0から演劇舞踊の35.0まで、学科間で偏差値20の開きがある。演劇舞踊の35.0だけを見て「Fランだ」「誰でも入れる」と判断するのは早計だ。グラフィックデザインや情報デザインは偏差値50超で、一般的な私大の中堅〜上位レベルに位置している。
そもそも美術大学は実技試験が入試の中心にある。偏差値=学科試験の難易度であって、実技のハードルは数字に表れない。デッサンやポートフォリオの実力が足りなければ、偏差値が低い学科でも普通に落ちる。「誰でも入れる」は、美大の入試構造を知らない人の印象に過ぎない。
倍率推移
| 年度 | 倍率(全選抜・全体) |
|---|---|
| 2025年度 | 4.4倍(志願者8,337名) |
| 2024年度 | 4.5倍 |
出典:パスナビ(2024-2025年度入試結果)
全選抜の倍率は4倍台半ば。4〜5人に1人しか受からない計算だ。学科別に見るとさらに差が出る。グラフィックデザインは一般方式で7.3倍(2025年度)、情報デザインは共通テスト方式で8.9倍に達する。一方で実技重視の学科は2〜3倍台に落ち着く場合もあり、学科選択で難易度は大きく変わる。
少なくとも、全体で4.4倍という数字を見れば「誰でも入れる」とは到底言えない。受験者の半数以上が不合格になっている事実は、データが示す通りだ。
多摩美術大学の就職実績
「美大に行ったら就職できない」——そういう先入観を持つ人は多い。でも多摩美の就職データを見ると、印象とはかなり違う現実が見えてくる。
就職率
| 項目 | 数値(2024年3月卒業) |
|---|---|
| 進路決定者数 | 997名 |
| うち企業就職 | 741名 |
| 就職率(就職希望者ベース) | 89.0% |
| 人気企業100社(東洋経済調べ)就職実績 | 約50社 |
出典:多摩美術大学公式 2023年度卒業生進路データ
就職希望者ベースの就職率は89.0%。美術大学は卒業後にフリーランスのデザイナーやアーティストとして活動する人が多いため、一般の大学と単純比較はできない。就職を希望した人の約9割が内定を得ている——これは美大としてはかなりの高水準だ。
さらに注目すべきは、人気企業100社のうち約50社にクリエイティブ職や総合職として就職実績がある点。美術大学でこの数字を出せるのは、多摩美と武蔵美くらいだ。
主要就職先
| 業界 | 主な就職先 |
|---|---|
| ゲーム・エンタメ | 任天堂 / スクウェア・エニックス / セガ / コナミグループ / バンダイナムコ / ポケモン |
| 広告・メディア | 電通 / 博報堂 / ADKホールディングス / NHK / テレビ朝日 |
| IT・Web | サイバーエージェント / 楽天グループ / リクルート / チームラボ |
| メーカー(化粧品・食品) | 資生堂 / コーセー / 味の素 / サントリー / 日清食品 |
| 自動車・輸送機器 | 本田技研工業 / 日産自動車 / SUBARU / スズキ |
| 建築・インテリア | 大成建設 / 竹中工務店 / 積水ハウス / 乃村工藝社 |
| アパレル・ジュエリー | イッセイミヤケ / コム・デ・ギャルソン / ユニクロ / ミキモト |
出典:多摩美術大学公式 就職実績
任天堂、電通、資生堂、本田技研——日本を代表する企業がズラリと並ぶ。しかもクリエイティブ職として入社しているケースが多い。デザイナー・プランナー・ディレクターとして、ものづくりの最前線に立てる。これは美大ならではの強みだ。
特にゲーム業界への実績が厚い。任天堂、スクウェア・エニックス、セガ、コナミ、ポケモンと、業界の主要プレイヤーを網羅している。ゲームのキャラクターデザインや背景美術、UI設計など、美大で鍛えた技術がそのまま武器になる業界に強い。年間約200社を招く学内企業説明会も、多摩美のキャリア支援の特徴だ。
同偏差値帯の大学と比べると?
多摩美術大学だけを見ていても相対的な位置がわからない。東京五美大の中から同偏差値帯の2校と比較してみよう。
| 大学名 | 偏差値帯 | 就職率 | 学費(4年概算) |
|---|---|---|---|
| 多摩美術大学 | 35.0〜55.0 | 89.0% | 約700万円 |
| 武蔵野美術大学 | 42.5〜55.0 | 92.7% | 約680万円 |
| 東京造形大学 | 37.5〜50.0 | 83.0% | 約695万円 |
出典:各大学公式 / パスナビ(2023年度卒業生実績)
東京五美大の中で、多摩美は武蔵野美術大学(通称ムサビ)と並ぶ最上位クラス。就職率89.0%はムサビの92.7%にわずかに及ばないが、東京造形大学の83.0%を上回っている。美大の中では間違いなくトップ層に位置する。
学費は4年間で約700万円。私大の中でも美大は学費が高い傾向にあるが、3校ともほぼ横並びだ。差がつくのは就職先の質とブランド力で、その点では多摩美の任天堂・電通・資生堂レベルの就職実績は、4年間の投資に見合うだけの価値がある。
「多摩美術大学 誰でも入れる」と検索される背景
ここまでデータを見てきて、「思ったほど悪くない」どころか「かなり強い」と感じた人も多いと思う。じゃあなぜ「誰でも入れる」と検索されるのか。
最大の原因は学科間の偏差値差の大きさだ。グラフィックデザインの55.0と演劇舞踊の35.0、その差は20。35.0という数字だけが切り取られて「BF(ボーダーフリー)に近い=誰でも入れる」というイメージが広がっている。実際にはグラフィックデザインの倍率は7倍超で、偏差値55はMARCH下位と同水準だ。
もう一つは、美術大学に対する根強い偏見。「美大は勉強できなくても入れる」「絵が描ければ誰でも受かる」——こういうイメージが世間には根強い。だが実態はまるで違う。多摩美の全選抜倍率は4.4倍。実技試験では何年も美大予備校に通って鍛えた受験生同士が競い合う。専門的なトレーニングなしには太刀打ちできない世界だ。
さらに、美大は一般的な偏差値ランキングの枠外で語られることが多い。総合大学のランキングに美大が載ることは少なく、情報が届きにくい構造がある。情報の少なさが誤解の温床になっている。実際には、多摩美は日本の産業界にクリエイターを送り出し続けている日本有数の美術大学だ。偏差値という1つの指標だけでは、この大学の価値は測れない。
まとめ ― 配られたカードで戦うために
データを見ればわかる通り、多摩美術大学は不安に思うような大学じゃない。偏差値も就職実績もしっかりしてる。任天堂、電通、資生堂——美大だからこそ行ける企業に、毎年卒業生を送り出している。
俺のFランよりずっと恵まれた環境にいる。全然どん底なんかじゃない。ここからいくらでも変えられるから、その環境を活かしてほしい。
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