偏差値帯:BF(Tier A)
就職率:72.1%(就職希望者ベース・パスナビ)
藤原の一言:「不安に思う気持ちは痛いほどわかる。でもここから変えられる」
「国立音楽大学 やばい」——検索した気持ち、痛いほどわかる。俺も偏差値37くらいの大学に通ってた。大学名を言うたびに空気が変わるあの感じ、何度も経験した。
でも、今更それを嘆いても仕方ない。ここから配られたカードで戦うしかない。だからまず、国立音楽大学の現実をデータで確認していこう。
国立音楽大学の偏差値と入試難易度
まずは偏差値と入試の実態を見てみよう。国立音楽大学の河合塾偏差値は全専修でBF(ボーダーフリー)。ただし、これは音大特有の事情がある。
学部別偏差値
| 学科・専修 | 偏差値(河合塾) |
|---|---|
| 演奏・創作学科/声楽専修 | BF |
| 演奏・創作学科/ピアノ | BF |
| 演奏・創作学科/オルガン | BF |
| 演奏・創作学科/弦管打楽器専修 | BF |
| 演奏・創作学科/ジャズ専修 | BF |
| 演奏・創作学科/作曲専修 | BF |
| 演奏・創作学科/音楽デザイン専修 | BF |
| 音楽文化教育学科/音楽教育専攻 | BF |
| 音楽文化教育学科/幼児音楽教育専攻 | BF |
| 音楽文化教育学科/音楽療法専攻 | BF |
出典:Kei-Net(河合塾提供・2026年度入試予想)
全てBF——これだけ見ると「やばい」と思うかもしれない。でも音大の入試は実技試験が中心で、学科試験の受験者が少ないため河合塾の偏差値が算出されないだけだ。BF=簡単に入れるとは限らない。実際にはピアノや声楽の実技審査を通過する必要があり、偏差値では測れない入試の壁がある。
ちなみにベネッセの偏差値では45〜50の範囲で表示される。共通テスト利用入試の得点率は52〜62%で、声楽専修が62%、弦管打楽器専修が60%、ピアノが56%。偏差値だけで「やばい」と判断するのは、音大の入試構造を知らない見方だと言っていい。
なお、大学名の「国立」は「くにたち」と読む地名由来で、国立大学(こくりつ)ではない。東京都立川市にキャンパスを置く私立大学だ。
倍率推移
| 年度 | 倍率(一般選抜・全体) |
|---|---|
| 2025年度 | 1.1倍 |
| 2024年度 | 1.0倍 |
| 2023年度 | 1.1倍 |
出典:パスナビ(2023〜2025年度入試結果)
一般選抜の倍率は1倍前後で推移している。受験すればほぼ合格する水準に見えるが、音大の入試は総合型選抜(実技重視)が主要な入試経路で、2025年度の総合型選抜は倍率1.3倍。一般選抜の倍率だけでは入学の難しさは測れない構造がある。
国立音楽大学の就職実績
偏差値の次に気になるのは、卒業後にどうなれるかだ。音大の就職事情は一般大学とは大きく異なる。データを見てみよう。
就職率
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 卒業者数 | 309名 |
| 就職希望者数 | 197名 |
| 就職者数 | 142名 |
| 進学者数 | 50名 |
| 就職率(就職希望者ベース) | 72.1% |
出典:パスナビ(2024年度卒業生実績)
就職率72.1%。一般大学の97%前後と比べると低く見える。でも音大の「就職」は一般大学とは意味が違う。卒業者309名のうち、そもそも就職を希望したのは197名。残りの112名は大学院進学(50名)のほか、フリーランスの演奏家・自宅教師として活動を始めるケースが多い。音大では「企業に就職しない=失敗」ではないんだ。
教員採用試験では、2025年度の公立学校教員採用候補者選考で現役・卒業生を含め全国29名が合格。幼稚園教諭は希望者のほぼ全員が就職を決めている。音楽教育の分野では確かな実績がある大学だ。
主要就職先
| 分野 | 主な就職先 |
|---|---|
| 教育 | 公立学校教員48名 / 音楽教室等26名 |
| 音楽関連企業 | ヤマハ音楽振興会5名 / 島村楽器4名 |
| 自衛隊音楽隊 | 陸上自衛隊音楽隊5名 / 海上自衛隊音楽隊2名 |
| 大学・研究機関 | 国立音楽大学6名 |
| 芸術団体 | 劇団四季2名 / 北九州市芸術文化振興財団2名 |
出典:パスナビ(2024年度卒業生実績)
教員が48名と最多。次いで音楽教室、ヤマハ音楽振興会、自衛隊音楽隊と続く。自衛隊音楽隊への就職実績は音大ならではだ。陸上・海上合わせて7名が入隊しており、これは狭き門をくぐった結果だ。劇団四季への就職もあり、音楽の専門性を直接活かせる進路が揃っている。
一般企業への就職も約6割を占めており、金融業、情報通信業、サービス業など音楽以外の分野にも進出している。「音大を出たら音楽しかできない」というイメージは、実態とは異なる部分が大きい。
同偏差値帯の大学と比べると?
国立音楽大学だけを見ていても相対的な位置がわからない。私立三大音大と呼ばれる3校で比較してみよう。
| 大学名 | 偏差値帯 | 就職率 | 学費(4年概算) |
|---|---|---|---|
| 国立音楽大学 | BF | 72.1% | 約864万円 |
| 東京音楽大学 | BF〜35.0 | 80.6% | 約871万円 |
| 武蔵野音楽大学 | 35.0〜37.5 | 82.4% | 約843万円 |
出典:各大学公式 / パスナビ(2024年度実績)
就職率では武蔵野音楽大学が82.4%でトップ、次いで東京音楽大学が80.6%。国立音楽大学の72.1%はやや低い数値だが、これはフリーランスや演奏活動を選ぶ卒業生の割合が影響している。
学費は3校とも4年間で約840〜870万円とほぼ横並び。一般の私大(文系で約450万円前後)と比べるとほぼ倍の水準だ。音大の学費が高い理由は、少人数制の実技レッスン、練習室の維持管理、楽器設備のコストが大きいため。これは音楽教育の構造的なコストであり、国立音楽大学だけが高いわけではない。
「国立音楽大学 やばい」と検索される背景
ここまでデータを見てきて、「思ったほど悪くない」と感じた人もいると思う。じゃあなぜ「やばい」と検索されるのか。
最大の要因は偏差値BFという数字の一人歩きだ。河合塾で全専修BFと表示されると、偏差値至上主義のランキングサイトでは「Fラン」扱いされやすい。でも実態は、実技試験が合否の中心であり、学科の偏差値が出ないだけ。偏差値が大学の全てを決めるという前提自体が、音大には当てはまらない。
もう一つは、音大全体の志願者減少トレンドだ。少子化に加え、音楽の仕事だけで食べていける人が限られるという現実が広く知られるようになり、音大への進学自体を「やばい」と見る風潮がある。国立音楽大学に限った話ではなく、音大業界全体が直面している構造的な課題だ。
ただし、国立音楽大学は1926年創立で2026年に創立100周年を迎える歴史ある大学。久石譲、広瀬香美、大貫妙子など著名な音楽家を多数輩出してきた実績があり、音楽教育機関としての評価は「やばい」という検索イメージとは大きく異なる。
まとめ ― 配られたカードで戦うために
偏差値だけ見れば、不安に思う気持ちはわかる。俺も同じだった。
でも、全然どん底なんかじゃない。教員48名、自衛隊音楽隊7名、ヤマハ・劇団四季——国立音楽大学からでも、音楽を武器にこれだけの選択肢がある。就職率の数字だけでは見えない、音大ならではの進路の幅がここにはある。
俺も偏差値37の大学から、今こうして普通に社会人として生きてる。ここからいくらでも変えられる。頑張ってほしい。
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